タマネギの苗を自作してみよう

タマネギは家庭菜園でよく作られる野菜ですが、苗は購入される方が多いと思います。
ホームセンターなどでは50本入りの苗が400~500円程度で販売されています(下写真)。これだけであればそれほど高いものではありませんが、広い面積で栽培しようと思うとそれなりに苗数が必要になり、苗代も高額になってきます。

種苗会社のホームページには、種から育てることもできると書かれていますが、苗半作という言葉があり、苗の出来が収量にも反映されるため、きちんとした苗ができるかは初心者にとって不安です。とはいうものの、苗の販売時期は短く、売り切れることも多いため買い逃す心配もありますし、なによりも苗代を安くできるというのはかなり魅力的です。
そこで、ホームセンターで売っているタマネギの種から苗を作ることができるのか、実際に試してみました。

品種と栽培の時期

今回は、極早生品種として「絹てまり」、中生品種として「さつき」を植えることにしました。
極早生品種の「絹てまり」は9月中旬の播種、11月上旬頃に苗を定植、収穫は翌年4月中旬です。
中生品種の「さつき」は9月下旬の播種、11月下旬に苗を定植、収穫は翌年5月下旬です。

播種方法

種の説明を見るとタマネギは苗床で育苗するという記載がありますが、そのような広い土地もないので、下の写真のような育苗箱を作ってみることにしました。
また、畑の土には病気や害虫がいる可能性があるため、育苗用の培土をホームセンターで買ってきました。

「絹てまり」は9月13日、「さつき」は9月27日にそれぞれ播種をしました。育苗箱に土を詰めた後、割りばしのような棒で筋を作って、そこに種をぱらぱらと筋まきにします。そのような筋を5㎝間隔に作って、育苗箱1枚で大体200~300粒の種をまくことができました。播種が終われば、種が隠れるぐらいに土をかぶせました。

播種後の管理

播種後はじょうろで水をたっぷりとやり、日当たりの良い場所に置きました。
その後も毎日水やりをして、芽が出るまではあまり動かさずに置いておくと、播種5~7日程度で芽が出てきました。
育苗用の土には、ある程度肥料成分が入っていますが、よい苗を作りたかったので、発芽後は週に1回程度ジャストワン液肥100倍をたっぷりと施用しました。

苗の完成

播種2カ月程度で苗らしきものができました。ただ、売っているものよりもひょろひょろで少し心細いですね。これを植えても大丈夫でしょうか?売っている苗は鉛筆ほどの太さがありますが、こちらで作った苗はその半分ぐらいしかありません。種を密植したのが原因かもしれません。
タマネギの栽培について書かれた本をみると、太い苗は抽苔(トウ立ち)しやすいが、細い苗は冬の寒さで枯れる可能性が高いと書かれています。
冬の寒さで枯れないか心配ですが、とりあえず植えてみることにします。

定植とその後の生長

苗は株間15㎝で等間隔に植えました(写真)。極早生品種は11月10日に、中生品種は11月24日に定植しています。苗が細くて写真ではどこに植わっているか見えにくいですね。これからは春まで定期的に観察していくことにします。

2025年1月11日には雪が降りました。今年は特に寒い年だということで、毎日凍えるほど寒いですが、雪が解けるとタマネギは枯れずに残っていました。少し太くなったような気がします。

3月に入り気温が上がってきました。徐々に生長している気がします。
冬の寒さでも枯れることはなかったようです。

玉の肥大がすごい速さで進んでいます。
収穫まではあと一息というところです。
周辺のタマネギと比べても生長が遅いなどの影響はないようです。

収穫

4月になり極早生種は無事収穫できました。
中生品種も5月になり、玉(鱗茎部)が太ってきました。べと病やアザミウマ防除を適度に実施し、6月には無事収穫できました。枯れている株はほとんどなかったようです。

最後に

出来上がった苗はかなり細かったため、定植時には不安でしたが、冬の寒さに枯れることもなく、無事に立派なタマネギがたくさん収穫できることができました。
今後はこの方法で苗を作ることができれば、より安くタマネギを作ることができるようになると思います。皆さんも一度タマネギを種から作ってみてはいかがでしょうか?