ミドリムシは植物と言えるか

※2024年3月20日~5月25日に実施した自由研究コンテストの入賞作品です。
サイト掲載にあたり、一部文言や流れの変更・画像の修正を行っております。

ミドリムシはご存知でしょうか。とても小さく、肉眼で見ることが難しい微生物と呼ばれるものの1種です。微生物の中でもこのミドリムシは動物と植物両方の性質を持つと言われています。今回は、このミドリムシが植物と言えるのかを実験して調べてみたいと思います。

準備するもの

・ミドリムシ
・ペットボトル
・水(カルキ抜き)
・酵母(今回はビール酵母を使用)

方法

①ミドリムシを採取する。

②植物が生長する以下の5つの条件下でミドリムシが増えるか観察を行う。
(あ)光 (い)温度 (う)空気 (え)水分 (お)養分

今回の結果

(あ)光について
ペットボトルを用意し、中にカルキ抜きの水を入れ、採取したミドリムシを駒込ピペットで1滴加えました。その後、それぞれ、次のような場所に置きました。

(ア)人工の太陽光が当たる場所
(イ)部屋の中で太陽の光が少し当たる場所
(ウ)たんすの中

(ア)の人工太陽光に当たる場所に置いたペットボトルを、毎日ダンスをしながら振って、様子を観察していると、45日目には真緑になりました。

画像の「1」と書いているペットボトル:(ア)
画像の「2」と書いているペットボトル:(イ)
画像の「4」と書いているペットボトル:(ウ)

少しの太陽の光よりも人工の太陽光の方が緑の色が濃く、増殖していることが分かりました。
たんすの中に入れていたものは、なぜか鮮やかな薄い青になりました。専門家のアドバイスを受けて、酵母も入れてみましたが、光が無かったことが原因でしょうか。増殖はしていなさそうです。

(い)温度について
検証の仕方は今後の課題となっていますが、冷水と常温(25℃前後)で比較を行いました。
その結果、常温の方が増殖していた印象でした。寒いところは苦手なのかもしれません。

(う)空気について

ミドリムシを多めに入れてペットボトルキャップを外し、色の推移を観察しました。
こちらの検証では、ペットボトルは一切振っていません。
様子を観察していると、徐々に変色し、橙色に変化しました。
ミドリムシは葉緑素と呼ばれる緑の色素の他に、ヘマトクロームという赤い色素を持っています。
これらの色素が細胞内にどう分布しているかによって赤色になったり、緑色になったりするそうですが、他の生き物が混ざっている可能性も考えられます。

(え)水分について
画像は撮れていませんが、水道水とカルキ抜きの水で比較しました。
その結果、カルキ抜きの水の方が増殖した印象でした。こちらも今後の課題です。

(お)養分について
酵母エキスを混ぜたものと混ぜていないものを45日間観察しました。

画像の左端が酵母エキスを入れたペットボトルで、画像の右端が入れていないものです。
酵母は写真のように液状にして培養したものを使用しました。
栄養となる酵母エキスを入れた方が、緑色が濃く、増殖したことが分かります。

検証の仕方にはまだまだ課題がありますが、今回の実験では、光、温度、空気、水分、養分、それぞれについて、ミドリムシは確かな反応を示しました。ミドリムシはこれらの性質から植物であると思いました。

●今後の課題
今後は、どの温度帯で最も増殖するのか、より詳細に調べたいです。また、カルキ抜きの水が増殖に最適であるかを確認する実験にも取り組みたいと考えています。
他にも、(う)で発見した橙色のものの正体も探りたいです。写真には撮れませんでしたが、ライトで光を当てたところ、光の方向に動いていました。
これが何なのか、しっかり調べたいと思います。珪藻についても何か実験してみたいです。

最後に

今回はミドリムシが植物かどうかを調べてみました。橙色のものの正体は気になりますね。
光に向かって動くのはミドリムシの特徴にも当てはまりますが、どうなのでしょうか。
調べ方にはまだまだ課題がありそうですので、自分なりの調べ方を考えて挑戦するのも面白そうです。栄養となる酵母も色々なものが試せそうですね。