pHで色が変わる植物色素の不思議

植物にはカロテノイドやクロロフィルなど、いくつもの色素が含まれています。その中でアントシアニンにはpHによって色が変化するという大きな特徴があります。今回はブルーベリーからアントシアニンを抽出し、pHを変えて色の変化を見てみましょう!

準備するもの

・ブルーベリー(冷凍品でもOK)
・乳鉢、乳棒(すり鉢やビニール袋などのブルーベリーを潰せるものならOK)
・ろ紙(ティッシュペーパーやコーヒーフィルターなどで代用可)
・精製水(水道水より精製水がオススメ、ドラッグストアなどで購入可能)
・ピペット(あると便利)
・pHを調整する物質(酸性:食酢、レモン汁など、アルカリ性:家庭用塩素系漂白剤、 重曹、石鹸水など)
・ガラス容器
・白い紙皿

方法

①ブルーベリーを潰し、水を少しずつ入れて色素を抽出。
今回はブルーベリー7粒に水道水を約100 mL加えました(2回に分けて作業)。
なお、乳鉢を使うときは、直接テーブルの上において使用するとテーブルに傷がつくので、厚手の紙などを敷いて使います。

②ブルーベリー抽出液をろ過する。
今回はティッシュペーパーをガラス瓶にかぶせてろ過しました。

③ろ過したブルーベリー抽出液に、酸性またはアルカリ性の物質を少量加えて色の変化を観察する。

今回の結果

今回は酸性の代表としてレモン汁、アルカリ性の代表として家庭用塩素系漂白剤を選びました。白い紙皿にピペットでブルーベリー抽出液を0.5~1 mL垂らしたのち、ひとつはレモン汁、もうひとつは家庭用塩素系漂白剤を数滴垂らして色の変化を観察しました。

レモン汁を加えると、ブルーベリー抽出液は鮮やかな赤色に変わり、漂白剤を加えると、ごく薄い黄色に変わりました。

以上の結果から、ブルーベリーの色素は酸性で赤く、アルカリ性で黄色になるということを確認できました。しかしながら、漂白剤を入れたときの色が薄すぎるような…?もしかして、単に色素が分解されて色がなくなっているだけなのでは?

そこで、原液に漂白剤を加えて色を変化させたのち、さらにレモン汁を加えて色が元に戻れば、色素が分解されているわけではないと言えると考え、試してみました。
その結果がこちら↓

大量の原液にほんの1、2滴ハイターを垂らしたところ、どす黒い黄色に変色しました。この色を見ると、さっきのごく薄い黄色は、漂白剤によって色が抜けただけだったのでしょうか?

漂白剤はアルカリ性が強いので大量のレモン汁を続けて加えると、赤っぽい色に戻りました。これで単に漂白されたわけではなく、アルカリ性によって色が変化したことが分かりました。
ついでにブルーベリー色素の色変化は可逆的であることも分かりましたね。

※可逆的:状態Aが変化して状態Bになり、再び元のAにもどるさま。また単に、逆の方向の反応、変化も可能なさま。

最後に

アントシアニンはpHによって構造が変わり、色が変化することが解明されています。
今回はブルーベリーを使いましたが、アントシアニンは非常に多くの植物に含まれているので、ほかの植物でも試してみましょう(例えばブドウ、ナス、サツマイモ、アカジソ、バタフライピーなどなど)。

また、アントシアニンの色は金属イオンによっても変化することが知られています。今回家庭用塩素系漂白剤を入れたときにどす黒い色になってしまったのは、水道水に含まれる金属イオンの影響かもしれません。精製水を使えばもっときれいな黄色になったのかも…?

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