ブドウ(デラウェア)

お馴染みのデラウェアから最近流行りのシャインマスカットまで、特色ある品種が豊富なブドウ。果実を食べるだけでなく、葉の形や紅葉、日よけなどいろいろな用途で楽しめます。やや上級者向けですが、チャレンジの価値はじゅうぶんです。

難易度

基本情報

科名属名
ブドウ科ブドウ属(真ブドウ亜属)
収穫までの期間
開花から3~4カ月、植え付けから2~3年程度
生育適温
年平均気温が10~20℃(夏季40℃以上、冬季-8℃以下となる環境では難しい)
植え付け時期
11~2月頃
栽培スペース
地植えまたは鉢植え(8~10号鉢に植え付け、最終的に10~12号鉢程度)
水やり
乾き気味
たっぷり水やり
栽培暦

準備と植え付け

準備するもの

苗の準備と植え付け

植え付け時期 11~2月頃
ブドウの休眠期がよい
  • 01

    植え付け〈地植えの場合〉

    地植えの場合、直径及び深さが50~60 cmほどの穴を掘り、根を広げるように
    して植え付けます。掘り出した土の半分に緩効性肥料や腐葉土を混ぜて植穴に入れた後、残りをさらにかぶせます。この際、接ぎ木されている部分が埋まらないようやや浅めに植えます。また戻した土は徐々に締まってくるので、やや高めに盛り上げるようにします。植え付けた後はたっぷり水やりし、活着するまで乾燥しないようにします。

  • 02

    植え付け〈鉢植えの場合〉

    鉢植えの場合、水はけを良くして根腐れを防止するため鉢底石を敷き、その上に果樹用の培養土を詰めます。ブドウ苗を優しくポットから取り出し、やや浅めに植え付け、培土をかぶせます。鉢の縁ぎりぎりまで土を入れてしまうと水やりの際にあふれるので、少し余裕を持たせます。植え付け後は鉢底から水が出てくるまでたっぷり水をやり、支柱を設置します。

  • 03

    植え付け後

    地植えの場合、活着後の水やりはほぼ必要ありません。ただし夏に日照りが続いた場合は樹の様子を見ながら水やりをします。肥料は収穫後と休眠前(10~11月頃)に有機質肥料や緩効性肥料をあたえます。

    鉢植えの場合は土の表面が乾燥したら鉢底から水が出るまでたっぷり水やりします。肥料は2月、6月、9月頃にあたえます。

栽培

  • 01
    支柱立て

    地植えの場合は棚仕立てや垣根仕立て、鉢植えの場合は あんどん仕立てにします。また病害虫の住処になるため、前年の古い樹皮(粗皮)や巻きひげも取り除きます。

  • 02
    芽かき

    新芽が出てきたら、余分な芽を取り除きます。開花までの期間に2~3回に分けて不要な芽を取り除きます。

  • 03
    ジベレリン処理(開花前後:5月頃)

    ブドウはその年に新しく伸びた枝に花が咲き、実がなります。種なしにしたい場合は開花前後にジベレリンを処理します。処理方法は品種により大きく異なりますので、詳細は成書や製品の説明書をご覧ください。種ありで構わない場合は、ジベレリンを処理する必要はありません。

  • 04
    摘房摘粒

    ブドウは1本のつるに何房も実をつけますが、すべて実らせると樹に負担がかかり、果実の質も低下します。デラウェアなど小粒品種は1本のつるに1~2房、大粒品種は1本に1房とし、残りは間引きます。鉢植えの場合は、デラウェアで1鉢あたり6~8房、大粒品種では3~4房程度が目安でしょう。
    また大粒品種では主に果房の先端部のみを実らせ、残りの粒は取り除いて房の形を整えます。こちらも詳細は成書などをご覧ください。

  • 05
    傘掛け・袋掛け(6~7月頃)

    雨よけや病害虫・鳥の食害防止などのため、傘や袋を果房にかけます。

  • 06
    農薬散布(適宜)

    ブドウをはじめ果樹は病害虫の被害を受けやすい作物です。必要に応じて農薬を散布します。病気を防ぐためには、病気に強い品種を選ぶことと、雨にあてずに栽培する(ベランダや軒下に置く、雨よけを設置する、袋掛けする)ことが重要です。

ブドウ(デラウェア)の栽培の様子は、以下のページに掲載しています。

栽培の際の注意点

なるべく雨にあてない

  • 雨にあたると病気にかかりやすくなったり、実が割れやすくなったりしますので、対策を行いましょう。

丈夫な支柱を使う

  • ブドウのつるは太く重くなるので、支柱も頑丈なものを選びます。草花用の細い支柱は不向きです。

実をならせすぎない

  • 樹への負担が大きく、果実の品質低下を招きます。

収穫

ブドウの粒が十分に育ったら収穫できます。
ブドウは房の上部から熟してくるので、熟したかどうか分かりにくい場合は、下部のほうから1粒とって味見してみましょう。

監修者情報

坂さん OAT研究員

徳島県鳴門市生まれ
京都工芸繊維大学繊維学部高分子学科 卒業
大塚化学(株)に入社し、技術部農肥技術課、栽培研究センター研究員、四国出張所所長を歴任。
現在はOATアグリオ(株)研究開発部 肥料・BSグループリーダーとして活躍中
主な業務は肥料やバイオスティミュラント(BS)資材の新製品開発
趣味は釣りひとすじ

三好さん OAT研究員

香川県東かがわ市生まれ
新潟大学大学院自然科学研究科 修了
大塚化学(株)に入社し、肥料開発や栽培技術開発に従事
その後、同社鳴門研究所安全性研究室 研究員や(株)養液土耕研究所 代表取締役社長などを歴任
現在はOATアグリオ(株)栽培研究センターのセンター長として活躍中
趣味は釣りとゴルフ

よくある質問

  • Q

    どんな品種を選べばいいですか?

    初心者の方、農薬をあまり使用したくない方、雨よけ栽培が難しい方は、耐病性の強い品種を選択されることをオススメします。そのほかの点では、粒の大きさ、色、味、香り、肉質などを考慮して、お好みの品種を選択します。

  • Q

    植えて何年目から収穫できますか?

    早いものでは1年目から実がなりますが、実をつけるのが早すぎると樹の負担が大きいので、2年目または3年目から収穫します。

  • Q

    ブドウの葉やつるに透明な粒々がついています。ひょっとして虫の卵ですか?

    “真珠腺”とよばれるもので、ブドウ自身の分泌物です。特に心配ありません。

  • Q

    花が咲いても実がつきません。

    “花振るい”という現象です。特に大粒の4倍体品種(ピオーネや巨峰)で発生しやすいです。対策としては、休眠期に強い剪定をしない、窒素肥料を控えめにする、きちんと摘房をするなどがあります。また、一部の植物生長調整剤花振るいを防止する効果があります。

  • Q

    葉脈の間が黄色くなって、シマシマに見える葉はなんですか?

    いわゆる“トラ葉”とよばれる症状です。古い葉に見られる場合は、マグネシウム欠乏が疑われます。マグネシウムをはじめとする微量要素を含む資材の施肥で対応します( ジャストワン液肥サンピ833neoなどをお試しください)。

  • Q

    収穫期になってもきれいに色づきません(黒系、赤系品種の場合)。

    ブドウの着色は高温によって阻害されますので、気温が高い場合は高温障害が考えられます。着色を促進する植物生長調整剤によって改善される可能性があります(詳細は製品の登録内容をご確認ください)。また同じ房の中で、着色が進んだ粒とそうでない粒が混在し、ゴマシオ状になる場合もあります(特にデラウェア)。この場合はマンガン欠乏が疑われますので、マンガンを含む資材を処理します。

  • Q

    果実の表面がうっすらと粉っぽいですが、大丈夫ですか?

    ブドウ自身の分泌物で“ブルーム(果粉)”とよばれるものです。ブドウの場合、ブルームがついているほうが高品質とされます。

更新日時: 2024/09/26
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